今 週 の レ シ ピ

◇正月料理の煮物に加えてみませんか。

●奉書(ほうしょ)巻き

奉書(ほうしょ)巻き [材料]  -12本分-

・大根長さ6a1個
  塩小さじ2
  水2カップ
・鶏肉100g
・生姜(しょうが)1かけ
・干ぴょう15a長さ12本
◎煮汁
  煮出し汁1カップ
  砂糖大さじ1
  みりん大さじ1
  醤油大さじ1/2
  塩小さじ1/3

[作り方]

  1. 大根…6a巾のかつらむきにし、塩水につけてしんなりさせる。
    鶏肉…1a太さで長さ5〜6aに切る。
    生姜…細いせん切りにする。
    干ぴょう…洗って塩でもみ、もう一度よく洗い、水につけて充分もどす。
  2. 大根のかつらむきで鶏肉と生姜を芯にして巻き、干ぴょうでしばる。
  3. 煮汁で大根がやわらかくなるまで煮る。
ポイントはここ
  • 大根のかつらむきは、長さ10〜12a位で1本作ります。もし長くかつらむきができない場合は、せめて6〜7a位続けてください。2枚つなげて作ってみてください。そのとき長さがちがったら、短い方を中心にして巻いてください。
  • 生姜のせん切りはなるべく細くしてください。食べたとき、ほのかに生姜の香りがする程度にしたいのです。細いもの3〜4本で充分でしょう。
  • 大根が煮える時間で干ぴょうにも火を通したいので、細くて薄い干ぴょうを捜してください。干ぴょうの巾が広い場合は、2つに裂いてください。
  • 干ぴょうの結び方は、一重にして結びきりにします。(初年度6月第3週「茶巾煮」を参照)
  • 用意した煮汁には、干ぴょうの結び目を下にしてならべます。大根が少しやわらかくなりましたら、返して干ぴょうを上に向けます。少し煮汁が残るくらいに煮ます。

    巻き方 しばり方 結び目を下に

ちょっと一言
  • 「奉書巻き」は、奉書紙を巻いたように白い材料を巻いて作ったものを料理名にしています。大根のかつらむきや、かぶの輪切りなどで他の材料を巻いたものがよく作られます。
    「奉書紙」は「こうぞ」を主原料にしてすいた和紙で、しわがなく、純白できめが細かいのが特徴です。昔、主君の意向や命令などを下す文書である「奉書」に用いられたところから、この名前がついています。
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■アイスクリーム、いかっがすか!

ブラジルから友がやってきた。移住して20数年。出身地は青森県八戸市である。この12月、東京から新幹線が通じたばかりだ。3時間足らず(最短2時間56分)で行くというから驚く。日帰りもらくらくできる。考えもしなかったことである。

みちのく出身者にとって、夜汽車(よぎしゃ)はつきものだった。上京も帰郷も、長時間それに耐えうる体力と精神力がともなった。年末年始、お盆といった連休に集中し、列車は常に満員だったからである。すし詰め状態といっていい。あふれんばかりの乗客が通路やデッキを埋め尽くす。しゃがむのがやっと、横になることもできない。といって、まともに座席を得たところで苦行は免れない。新聞紙でも敷いて通路に寝るほうがはるかにマシで贅沢だ。夜行列車は「耐久列車」なのである。

こんな状況下、トイレへ立つには一大決心がいる。行く手をさえぎるものがありすぎるのだ。意を決し、勇を奮っていざ出発。荷物をかきわけかきわけ、座っている人に立ってもらい、寝ている人には起きてもらって泳ぐようにたどり着く。苦労の果て用を済ましてUターンするも、とうぜん復路も茨(いばら)の道だ。お詫び行脚が繰り返される。難儀して帰り着いても、場所があるとは限らない。遠慮は禁物、強引に割り込んでやっとのことで元の空間を取り戻せる。

私など、これが嫌で飲み食いは控えたものだ。ことに水物はつとめて避けた。冬はいいとして夏場はつらい。ある年のお盆、例によって車両は立錐の余地の無いほど帰省客が詰め込まれていた。客車というより貨車である。私は運がよい。通路をはさんで背中を一方の座席に、両足をもう一方の座席側に向けて座っていた。
深夜、暑さと疲れと眠気でぐったりしたところに、突如として"はい、アイスクリーム、いかがっすか!"の大きな声。車内放送ではない。生の声だ。れっきとした車内販売である。

その若い男、首からアイスボックスをぶら下げ、ひじ掛けにのっかって車内を見下ろしている。声が上から降ってくる。車内アナウンスと聞き違えるわけだ。超満員の客室では売り歩けるはずもない。そこでその物売りは、客がうっぷしているひじ掛けのわずかな隙間を拾って足を入れ、時にはねじ入れ、それがダメなら背もたれに足ごと立って器用に前進してくる。見れば裸足で、薄っぺらな上履きが腰のベルトにはさんである。バランス感覚は曲芸師さながら。乗客は、サーカスの綱渡りでも見上げるように呆気にとられている。

しばし間があって、再三の"アイスクリーム、いかがっすか!"の売り声に、蒸し風呂同然で寝るにも寝付かれない客たちは、我に帰ってつぎつぎ争うように買い出した。"根性!"私は唸った。その商売っ気たるや見上げたものだ。いや、売らんかな剥き出しのあまりの露骨さに呆れかえったのかもしれない。
売り尽くしたかしてその蜘蛛男は、演技を終えた曲芸師よろしくスーッと天井を伝うように私をまたいで退場していった。眠気と人いきれで朦朧とし、夢ででもあったようなできごとだった。

八戸までの新幹線の旅は快適にちがいない。車窓の雪景色に往時の車中泊の光景が重なって、なつかしさがこみ上げてくるはずだ。しかし、今昔の感にふけっている間はない。たちまち目的地まで運ばれて一驚する。そんな友の感慨が手にとるようにわかるのだ。(小笠原)


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