今 週 の レ シ ピ

・アドバンスクラス(8月第1週)のメニューより

●袋煮(ふくろに)   205kcal.  塩分1.8g (煮汁を含む)

袋煮(ふくろに) [材料]  -6人分-

・油揚げ小6枚
◎A
  鶏ひき肉150g
  シラタキ1/2袋(100g)
  豆腐1/2丁(200g)
  人参(にんじん)50g
  インゲン3本
  生姜(しょうが)1片
◎B
  塩小さじ1/2
  砂糖小さじ1
・干ぴょう20a12本
◎煮汁
  煮出し汁2カップ
  砂糖大さじ4
  みりん大さじ2
  醤油大さじ3

[作り方]

  1. 油揚げは長さを2等分し、熱湯で茹(ゆ)で、油抜きをして袋にする。
  2. シラタキは熱湯でアク抜きをし、3aくらいに切る。
    豆腐は軽く水気をしぼる。
    人参(にんじん)は、2a長さのせん切りにする。
    インゲンは1aくらいに切る。
    生姜(しょうが)は、みじん切りにする。
  3. ボールにAを入れ、Bで調味し、よく混ぜる。
  4. 1の油揚げに3を詰め、干ぴょうで結ぶ。
  5. 煮汁を用意し、その中で4をゆっくり煮含める。
ポイントはここ
  • 油揚げの油抜きは、「いなりずし」(2年目9月第1週)を参照してください。
  • シラタキは、最近アクをとってあり、そのまま使えるものもあります。よく袋を確かめてください。
  • 豆腐は「絹」「木綿」どちらでもお好みで選んでください。布巾につつんで、重石(おもし)をのせる方法か、1a角くらいに切ってザルに入れる方法を使い、水気を軽く切ります。
  • AとBをよく混ぜて12等分し、油揚げにしっかり詰めます。(1)
    口を写真のようにとじます。(2)(3)(4)
    戻した干ぴょうでしっかりしばります。(5)

  • 慣れてきたら、干ぴょうは短く切らずに、戻したまま端からしばりながら切っていきます。 袋煮の煮方
  • 直径24aくらいの鍋に煮汁を作り、煮立て、その中に油揚げの袋煮を平らに並べ、弱火でゆっくりと干ぴょうがやわらかくなるまで煮含めます。
ちょっと一言
  • 油揚げの中に詰めるものや、油揚げの口のとじ方、干ぴょうを結び位置や結び方を工夫して、いろいろな「袋(ふくろ)」を作ってください。「茶巾煮」(1年目第3週)参照。
≪組み合わせメニュー≫
    ◎エビとグリーンアスパラの清汁(すましじる)
    ◎小鯵(こあじ)の南蛮漬け
    ◎キュウリとナスの一夜漬け
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■老い

早朝の7時前です。玄関のブザーが鳴りました。近くに住む知り合いが立っていました。冬物の衣類を抱えています。
「クリーニングに出したいけど、近くにあったわよね、どこだっけ?」
向かいがそうですし、1軒おいたところにもあります。彼女が朝夕、甲斐犬と散歩に出ることも知っています。でも、こんな時間から開いているわけはありませんから、ついでというにはいささかズレています。

Aさんがおかしい、と感じたのは半年ほど前でしょうか。デパートの「友の会」の会費を3ヶ月おきに徴収にくるのですが、今しがた払ったお金を忘れているのでした。ひと月もおかないでまた取りにきました。もしかしたら、と思いました。

Aさんは、私が小さい頃から家に出入りしている馴染みの人です。お稽古の助手さんとして手伝ってもらったこともあり、気心もしっています。いつも私を名前で呼んでくれていました。それがこのあいだは、私をつかまえて"奥さん"というのです。はじめてのことでした。このときです、Aさんの異変に確信をもったのは。

Aさんはご主人と商売をしています。子供さんはみなさん独立して、夫婦二人きりの生活です。この先、症状がすすんでいったらどうなるのでしょう。商売もそうですが、炊事など家事にも支障をきたすのではないかと心配です。

身近かな人間の衰えていく姿を見るのはつらいものです。姑もそうでした。東京で舅と二人暮しをしていました。料理が上手で、万般よく気がつき、傘寿のプレゼントに腕時計を希望して周囲をおどろかせました。90近くになって、痴呆の兆候が出はじめた頃です。室内で転んで足の付け根を骨折、手術して2ケ月入院しました。その間に痴呆が急速に進行してしまい、退院しても家事ができなくなりました。いまは田舎の義姉夫婦宅に身を寄せています。

ひとは歳をとると、体がきかなくなります。痴呆が加わると、体だけでなく頭も働かなくなります。なにをするにも億劫になり、集中力を欠きます。いくら料理が好きでも、一日3度の仕度は重労働です。買物ひとつが大仕事です。料理の場合、ガスや電気を使って危険でさえあります。

ただし、老いが全身を支配しても、味覚は別のようです。ある料理の先生から聞きました。だいぶ痴呆がすすんでいたお母さんに、大丈夫(?)だと思って、一番出汁(だし)をとらないでお吸い物を出しました。一口すすって、"なんですか、この味は!"と一喝、手抜きを見破られたそうです。ボケはきてても、舌はそのかぎりではなかったとか。

それはともかく、痴呆や病気をかかえたお年寄りが暮らすのはたいへんなことです。私の両親の場合、ともに71歳で他界しました。それぞれ心臓発作と蜘蛛膜下出血でバッタリ。二人とも老化現象を見せる間もなくこの世を去りましたから、私は高齢者を世話する経験はもちません。

私どもはいわゆる団塊世代です。老後のシッポがみえてきました。高齢に伴う病気や痴呆を、自分たち自身の問題として考える時期にきています。避けては通れません。老いてしまえば、男・女の意識の差はなさそうです。夫婦はもちろん、家族、近親者たちと、いまから話し合う必要があるでしょう。いつどのような形で病気や怪我に見舞われ、老いの「到来」を早めないとも限らないからです。

Aさんはまだ60半ばです。じつは5年ほど前、家の前で車に足をひかれて怪我をしました。入院治療し、その後もしばらく通院しましたが、なかなか完治しないで引きずっていました。それが変調の引き金になった気がしてなりません。

健康で豊かな老後の「保証」は、だれにもないでしょう。個々それぞれ、さまざまな外的内的な要素がからんできます。保証はないとはいえ、せめて自分にできる範囲内での健康管理は、おさおさ怠りなく。


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