今 週 の レ シ ピ

・アドバンスクラス(1月第3週)のメニューより

●わかさぎのマリネ   132kcal.  塩分1.0g

わかさぎのマリネ [材料]  -6人分-

・わかさぎ12尾
  塩小さじ1/3
  胡椒(こしょう)少々
  小麦粉適宜(てきぎ)
  揚げ油2カップ
・人参(にんじん)3a位(50g)
・セロリ10a位(50g)
・玉葱(たまねぎ)1/2個(100g)
・レモン6切れ
・パセリのみじん切り少々
◎フレンチドレッシング
  サラダ油大さじ4
  酢大さじ3
  塩小さじ2/3
  胡椒少々

[作り方]

  1. わかさぎは、冷水でサッと洗って水気を切り、塩・胡椒(こしょう)で下味をつけ、10〜15分おく。
  2. 人参(にんじん)は、せん切りにする。
    セロリは3a長さの短冊切りにし、水でさらす。
    玉葱(たまねぎ)は輪切りを10〜15枚とり、残りは薄切りにしてさらす。
  3. フレンチドレッシングを作り、さらした薄切りの玉葱を漬ける。
  4. サッと茹(ゆ)でた人参と、水気を切ったセロリを3に加えてよく混ぜる。
  5. わかさぎに小麦粉をまぶして油で揚げ、熱いうちに4に漬ける。
  6. 皿に盛り、マリネの上に玉葱の輪切り、まわりにレモンの薄切りを飾り、パセリのみじん切りをふりかける。
ポイントはここ
  • わかさぎは油で揚げますので、はねないように水洗いした後、しっかり水気をとります。乾いた布巾か、キッチンペーパーなどでふき取ってください。はねないだけでなく、きちっと下味もつき、小麦粉も均等にまぶせ、カラッと揚がります。
  • 「マリネ」は「漬ける」ことです。まず、フレンチドレッシングを作り、さらした玉葱を漬けておきます。
  • 人参は細く切り、熱湯を通し、熱いうちにドレッシングに漬けてください。
  • セロリは短冊切りにし、冷水に5〜10分入れた後、水気をよく切り、ドレッシングに漬けます。 揚げてすぐ漬け込む
  • ドレッシングに野菜を漬け込んでから、わかさぎに小麦粉をまぶし、170〜180℃の油でカラッと揚げ、そのまま漬け込んでください。
  • 皿にマリネを盛り、わかさぎを5〜6匹上に取り出して、玉葱の輪切りを飾ります。
  • まわりにレモンの薄切りを飾りますが、食べるとき、全体に混ぜていっしょに食べてください。
ちょっと一言
≪組み合わせメニュー≫
    ◎ポークカツレツ
    ◎野菜のクリーム煮
    ◎ワインゼリー
【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■こんなはずでは (3)

4時起床。寝ていたわけではない。意識はつねに風の咆哮とともにあった。初夢とも無縁。今日はどこまで行けるだろう。ラーメンをすすりながらイメージした。

元気なら奈良田の登山口まで下っている。それはまず無理だろう。ポイントは農鳥岳の登り。そこまでどれだけ体力をのこしておけるかだ。それには間ノ岳までの稜線を、スローペースでもいい、できるだけ消耗しないように登ること。天気は心配なさそうだ。

6時出発。"お先に!"。出掛けに4人パーティーに声をかけた。中白根を経て間ノ岳までのゆるやかな3000mの稜線は、コースのハイライトである。わけても左(東)にみる富士山は、角度はもちろん距離といい高度といい、その神々しさは他所の及ぶところではない。強烈な向かい風も折込済み。現在地にいる証明のひとつにすぎない。

ところがいまこの時に、ここを歩く者だけが堪能することを許されるかけがえのない光景がストレートに伝わってこない。爽快さのカケラもない。引き締まった雪面にアイゼンの爪を食い込ませ、ウグイス張りの廊下さながらギシギシ小気味よく鳴らして登るのが好きだし得意だった。情けないことに体が起こせない、胸を張れないのである。

傾斜が疎ましかった。寒風にうんざりした。冬山の醍醐味に酔うはずが、きのうに続いて茨の道である。何度足を止めたかわからない。呼吸をととえるが、そのたびに眠くなる。スーッと眠入ってしまいそうになる。とんでもない、そんなことをしたらたちまち凍死する。睡魔があらたに敵に回った。

2時間すこし、塩見岳方面との分岐・間ノ岳(3189m)の頂上にとどいた。ザックを背負ったまま、岩場にヘタリ込む。刻んできた山荘からのルートを見下ろした。北岳を頭部とする巨大な恐竜の背中だった。虫でも這って行ったかと、怪訝そうに頸(くび)をまわしてこちらを睨んでいる。

長居は無用。風で体が冷えてくる。ここからは、お椀の底にへばりついたような農鳥小屋を目印に下っていく。雪はほとんどない。風で飛ばされてとりつくシマがないのだ。見通しが利いて、眠ってでも下りられそうだと簡単に考えていた。なかなかに手強い。そうでなくても平たい石のガレ場で足をとられる。そこへ強烈な風が、スキあらば袖口を引っ張ったり下からすくったりバランスをくずしにかかる。押し戻されているようで、小屋までの距離はさっぱり縮まらない。

下から誰かが上がってきた。手にピッケルを持っただけ。昨夜は農鳥の避難小屋に泊り、これから間ノ岳を往復、今日中に奈良田へ下るという。青年からすこし元気をもらった。

9時30分、農鳥小屋到着。雪がすっぽり屋根まで被っている。青年のザックが置いてあった。大休止を入れる。行動食を取り出す。ナイロン袋に乾燥イモ、チョコレート、チーズ、レーズン、ピーナツ等のつまみ類、キャンディー、羊羹(ようかん)、塩昆布、梅干しなどが雑多に入っている。テルモスのお湯とともに、手当たり次第ほおばった。

ここから農鳥山頂への急登が今日の、というより、この山行さいごの「山場」となる。風が雪を舞い上げる。目を開けていられない。後ろを見ては、稼いだ高度を"勘定する"。歩数を数える。二桁と続かない。斜度が増した。60度位か。ほとんど垂直の感覚。最上部に近いのだろう。岩をつかんで体を持ち上げ、さらにワンアクション右斜めに進んだときだ。

まずい! 手がかりがない、足場もない。ルートを外れたらしい。さて、どうするか。アクションをふたつフィードバックしようにも、今しがたつかんだ突起が上からはわからない。確信をもてないまま下がるには危険である。だが、そうしたい誘惑に駆られる。登ったんだから降りられるはずだと。一手(一歩)誤れば終わり。ザックと体の重さを支えきれない。背中に悪寒が走る。力が抜けていきそうだ。

下ってはならない。落ち着け。周囲をよく見ろ。そう自分に言い聞かせる。左上部に、つかめそうな岩があった。行けるかもしれない。岩が重みに耐えうるかを左手で確かめる。ピッケルのピックで右手を固定、左右のアイゼンの前歯を突き立て重心を移動しながら体を左に振っていった。上部に窪みがある。さらにワンアクション、そこへ乗っ越すように体を入れた。助かった!

時間にしたら数分だろう。一時はパニックに陥りかかった。進退窮まる前に、行く手を確かめるべきだった。迂闊だった。心身ともにその余裕がないということだ。これがあるから山は恐い。

フィナーレを飾るにふさわしい出来事だったとなぞる暇(いとま)もなかった。さらなる関門が待ち受けていた。フラットな稜線を農鳥山頂へと歩いていく。右(西)からの風が格段に強くなった。風洞実験室のように雪煙が吹き荒んでいるのがよく見える。地吹雪状態だ。つぶてが当たるように顔が痛い。まともには歩けない。立ってもいられない。体が浮き上がる。腰をかがめピッケルを突いて耐風姿勢をとる。それでも足りない。ズルズルズルズル、切れ落ちた断崖絶壁へと押しやられる。体が地面から剥がれそうだ。このままでは持っていかれる。

風にこれほどの恐怖を感じたのは記憶にない。さらに思い切り腰をかがめる。すこしでも崖側から体を遠ざけねば。反対側がゆるやかに傾斜している。横歩きでそこまで移動。角度がある分、体重が乗せられる。ザックの重みを恨んできたが、今はそれで助かっている。傾斜地を匍匐(ほふく)に近い「低空歩行」で、暗闇をさぐるようにすすんでいった。突き抜ける快晴の下、悪夢のような突風だった。

農鳥岳山頂(3050m)で大休止をとった。さっきの青年が追いついてきた。
"生きた心地がしませんでしたね"
昨日はそれほどではなかったとか。青年も烈風の洗礼には肝をつぶしたようである。

そこから大門沢下降点までも、風に運ばれるようにして流れ着いた。残りは1mばかり雪の積もった樹林帯を、尻セードをまじえて大門沢小屋まで下り終えた(16時15分)。実質、縦走の完了である。

小屋には5人のパーティーが先着でいた。おなじく夜叉神峠から縦走していた。前夜は農鳥の小屋に泊まり、青年と一緒だったようである。この夜、5人と同宿した。下山した安堵からだろう、深更まで話し込んでいた。こちらは一切気にならずに熟睡した。してみると、二晩とも眠られなかったのは何だったのだろう。身体疲労、それに単独縦走からくる「不安」と「緊張」だったのではあるまいか。神経の高ぶりが安眠を遠ざけた。おそらくそうにちがいない。

中高年グループには申し訳ないことをした。彼らが羽目をはずしていたわけではなかった。責任を転嫁していた。こちらに非があったのだ…。連中は、夜になっても到着しなかった。

翌朝の出立間際、彼らは小屋に到着した。前夜遅くなって小屋まで到達できず、樹林帯でテントを張ったという。あいさつを交わしながら、私は心の中で彼らに謝罪した。

苦闘の3泊4日だった。達成感はない。むしろ敗北感。極度の疲労と無事の下山、それだけだった。甲府に帰還後、家人の放った第一声がいみじくもそれを証明する。
"なんだか、70過ぎのおじいさんになったみたい”
笑顔がなかったのは自分でも覚えている。よほど不機嫌で仏頂面をしていたのだろう。「胎内くぐり」どころか「浦島太郎」になって帰ってきたようである。 (おがさわら)(おわり)


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