今週のレシピ

・ブライダルクラス(3月第2週)のメニューより

● 蛋炒飯 (玉子チャーハン)  423kcal. 塩分2.7g

蛋炒飯 [材料]  -6人分-
・米3カップ
・水3.3カップ
・卵2個
・筍(たけのこ)1本
・ハム3枚
・葱(ねぎ)1本
・油大さじ3
◎合わせ調味料
  中華出汁(ちゅうかだし)1/2カップ
  醤油大さじ1
  塩小さじ1.5
  うまみ調味料少々

  [作り方]

  1. 米は1割り増しの水で少し強(こわ)めに炊いて用意する。
  2. 卵…割りほぐしておく。
    筍…2a位の薄い短冊切り。
    ハム…7_位の角切り。
    葱…薄い小口切りにして、さらしておく。
  3. 鍋に油(大さじ2)を入れて、いり玉子を作り皿にとる。つぎに筍とハムを炒める。油(大さじ1)をたしてご飯を炒め、いり玉子をもどす。
  4. 合わせ調味料を加え、フライ返しで2、3回大きく返し、鍋全体を動かして、こげないようにあおり、葱を加えて仕上げる。
ポイントはここ

  • チャーハンを作るとき、チャーハンのためにご飯を炊いていますか? 「ご飯がちょっと足りないから、具をいれて油で炒めると、ボリュームが出てちょうどよい量になるわ」こんな調子でやっていませんか…チャーハンは冷や飯を"整理""処分"するためだけのメニューではありません。チャーハンのためにご飯を炊いてください。いつものご飯より、少し硬め(強め)に炊きます。炊きたてのアツアツご飯は、味付け調味料をぐんぐんと吸い込んでくれます。一粒一粒にちゃんと味がつくんです。これが我が家(当学園)玉子チャーハン第一のコツ!!
  • 鍋はもちろん鉄製の中華鍋。6人分を作るには直径33a位がよいでしょう。中華鍋はまず何も入れずに空で強火にかけます。煙が出るちょっと前位に少し多目の油を入れて、全体にまわしてからその油を容器(揚げ物をしたあとの油をこすために用意してあるもの)にあけます。もう一度分量の油を加えて熱して、チャーハン作りが始まります。これで最後まで強火で調理しても、鍋には何もこげつきません。
  • 卵2個には少々大きいかもしれませんが、直径15〜20a位のボールに割りほぐします。前述の中華鍋に、2個の卵には少し多目の油を熱してから卵を加え、軽く2、3回フライ返しで混ぜたら、卵を入れておいたボールに手早く取り出します。卵は80℃位の温度でかたまります。ノロノロしていると、鍋の余熱でどんどんかたまります。手早く取り出すために、少し大き目のボールに割りほぐしておくわけです。そのボールに取り出せば、ボールひとつが汚れるだけですみます。この半熟で油を多く含んだいり玉子が、ご飯の中に入りこんで油の役目をし、ご飯をほぐしてくれるのす。これが玉子チャーハン第二のコツ!

    卵の取り出し方 半熟卵が油の役目

  • 塩や醤油をふりかけて全体に味付けしようとしても、なかなか均一につかないものです。中華風の出汁(だし)の中に塩・醤油を加えて、ひとつの味付け調味料を作っておきます。前述の炊きたてで少し硬めのご飯に、いり玉子を加えて全体にご飯がほぐれたら、この調味料が威力を発揮します。加えたとき、一瞬「雑炊状態」になりますが、あわてないこと。まず強火でフライ返しで2、3回大きく返します。つぎに、両手で中華鍋の持ち手をしっかりもって大きく左右にゆり動かした後、数回あおってください。パラパラして、しかも一粒一粒のご飯にちゃんと味がつきます。これが第三のコツ!!
  • 具に、玉葱や日本葱のみじん切りを炒めて加える方もいらっしゃるかもしれませんが、このチャーハンでは日本葱の小口切りをふきんに包んで、流水でもみながらさらしたものを用意して、火からおろしたあとで混ぜます。日本葱の香りが第四のコツ!! ぜひお試しください。

    味の付け方 火を止めてから葱を加える

そうは言っても…

  • 「冷や飯」でももちろんおいしい玉子チャーハンはできます、念のため。
    電子レンジで冷や飯を充分熱くします。炊きたてと同じくらいに熱くするのがポイント!! あとはまったく同じでいいんです。
ちょっと一言

  • 合わせ調味料に使う中華出汁にはいろいろなものがあります。水に市販の「だしの素」(粉末、チューブ、ペーストなど)をとかしたものや鶏肉や豚肉の茹で汁、酒蒸しにした蒸し汁を使ってみてください。
  • 仕上げに鍋肌から大さじ1位のオイスターソース(カキ油:牡蠣の塩漬けを醗酵させ、その上澄みで作った調味料)を加えると、なお一層深みが出ます。そのときは、合わせ調味料の塩を少し控えてください。
≪組合わせメニュー≫
  ◎春雨と蒸し鶏の中華風サラダ
  ◎豆腐とほうれん草の中華風スープ
  ◎果物いりココナツミルク

【野口料理学園】

塩ひとつまみ


■料理学校はみみっちい?!

  • よく外の会場で講習会を開きます。ある町でのこと。ババロワが仕上がって、ボールからゼリー型に流しいれているときです。「生地がボールに残らないように、全部ヘラでまとめて流してください」と言うと、一人の受講者が「料理学校って、みみっちいのね」とつぶやいたのです。思いがけないことばでした。
  • ケチっているのではないのです。ボールの中にある生地を全部つかってはじめて最初に想定した形と味に仕上がるのであって、くっついている部分を残すと、規定の分量が減ってしまうことになり、目標のババロワにはならない。お菓子作りにおいては、分量や手順を正確にやらないと、まるでちがったものに仕上がることが多々あります。つぶやいた人は、こちらがもったいないとか節約心でしていると思ったのでしょうが、ちがいます。できるものができないからそうしているだけです。
  • これとは正反対に「料理学校はぜいたくだ」と言われたことがあるそうです。母である前園長の時代、「料理学校で教える料理は、高級でぜいたくでお金がかかるから行かせない」という知り合いの旦那さまがいました。どこで得た情報なのでしょう、タイヘンな誤解とばかり「そうじゃありません。ひとつの材料を使っていろいろな料理ができるから無駄はないし、経済的で、ぜいたくなことはまったくありませんよ」と前園長は説得し、その方の奥さんは通いだしました。半年後、ふたたびご主人にお会いしたら、こう言われたそうです。「いやあ、まったく先生の言った通りです。おかげで食費は増えず、食卓がにぎやかになりました」。
  • そうなんです、家庭料理というのは、無駄をなくすことなのです。材料の無駄、労力の無駄、時間の無駄、お金の無駄etc.を極力省くことにあります。そのうえで、おいしさと栄養を追求します。物資欠乏の母の時代も、物があふれている今も変わりありません。引き継いだ私もそのことを言い、かつ実践してきました。時代がやっとそれに気づいて「エコクッキング」などと称していますが、どこの家庭でも昔からやっていたことです。時代の風潮に翻弄されて見失うときがあるだけです。それをみみっちいとか(最初のエピソードの意味はちがいますが)ぜいたくだと取られると、ちょっぴり悲しくなりますね。
  • エコクッキングとはまさに「もったいない」の心です。お稽古中、ことあるごとに生徒さんに言います。習いはじめて3ヶ月もたつと、着実にその効果があらわれてきます。切った残りの材料を無造作に捨てていたのが、「先生、これ、なにかに使えません?」と聞いてきます。また、すぐ、「ヘラ貸してください」と、余った生地やタレなどをまとめようとします。「もったいない」がすっかり身についたようで、頼もしくまた好ましく感じられる一瞬です。
  • 料理学校はみみっちいわけでも、ゼイタクでもありません。合理的で効率のよい料理の仕方をめざしているだけです。「愛情こめて」「楽しみながら」、というただし書きをそれにくわえておいてください。

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