今 週 の レ シ ピ

・専攻科のメニューより

●花イカの中華風和(あ)え物    88kcal. 塩分1.6g

花イカの中華風和え物 花イカの中華風和え物かけ汁

[材料]  -4人分-

・イカ1/2尾
  酒・胡麻油(ごまあぶら)
・セロリ1本
  塩・砂糖
  胡麻油
・トマト1個
◎かけ汁
  ニンニク1片
  醤油大さじ2
  酢大さじ1/2
  砂糖小さじ1
  ラー油大さじ1

[作り方]

  1. イカは皮をむいて、花切りにし、酒を入れた湯で茹で、水にとり、水気を切り、胡麻油をまぶす。
  2. セロリは5〜6cm長さに切り(1)、巾2cmくらいにととのえ(2)、厚みを2〜3つに割り、切り込みを入れる(3)。
    塩を加えた湯でサッと茹(ゆ)で、塩、砂糖、胡麻油で下味をつける(4)。

    (1) (2) (3) (4)

  3. トマトは、半月の薄切りにする。
  4. 大皿にトマト、セロリをまわりに飾り、中央にイカを盛る。
  5. かけ汁を作り、イカの上にかけて仕上げる。
ポイントはここ
  • イカの花切りは、身の厚いものがきれいに仕上がります。写真のイカは「ムラサキイカ」です。「ロールイカ」として冷凍のものがスーパーの店頭に並んでいます。
  • 花切りは、まず縦(たて)に巾3mmくらいに包丁を立てて、真っ直ぐ切れ目を入れます(1)。90度まわして、包丁を斜めにし、切れ目を切り落とさないように1本入れ(2)、おなじ角度で巾5mmで切り落とします(3)。これを酒を入れた湯で茹で(4)、水にとり(5)、水気をよく切り、胡麻油をまぶし、くるくるまいて花を作ります(6)。

    (1) (2) (3) (4) (5) (6)

  • 白い大皿の一番外側にトマト、つぎにセロリをならべ、中心に花切りイカを盛ります。
  • かけ汁はイカにかけておき、食べるときは全部をよく混ぜて、味がまわったら取り分けます。
ちょっと一言
  • ラー油は、中華料理によく出てくる調味料のひとつです。私は唐辛子と胡麻油で「私のラー油」を作ります。一度にたくさん作らないで、1週間〜10日間で使い切る量を作りましょう。

     ★ 「私のラー油」の作り方
    1.小さい鍋に、50ccの胡麻油と2〜3個に切った唐辛子を入れる。
    2.1を弱火にかける。
    3.ピチピチした音がしたら、火からおろす。
    4.充分に冷まし、口の狭い器に入れてとっておく。

【野口料理学園】
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塩 ひ と つ ま み

■とっておきのワザ

「おふくろの味」があるのだから、「おやじの味」というのもある。誰にもあるというわけではない。世の中、父親は料理しない(ことになっている)。「おやじの味」をしらないのが普通である。日常的に母親代わりに台所にたつなどは特殊中の特殊、趣味的に気が向いたときに包丁をにぎるのがせいぜいで、それでも人(家庭)によって動機(事情)はさまざまである。

私の親はともに明治生まれ。「男子厨房に入らず」どころか、「なにもしないのが父親」の世代である。その例にもれず、おやじも料理とは無縁だった。“作る張り合いがない”と常日頃おふくろがこぼしていた。出されたものを食べるだけ。「好き嫌い」を言わないかわり、「うまいまずい」も言わなかった。食べるほうがこれだから、作るなど推して知るべし。

それが、母親が転んで手首を複雑骨折、1ヶ月余り入院したことがあった。コンビニが普及するはるか以前である。インスタント食品(ラーメンはあった)や冷凍食品もそれほど出回っていなかった。食堂やレストランも近くになく、自分で作る以外、手はなかった。

切羽詰まったかして、おやじはナント自分で料理をした。無類の豆腐好きである。作った料理も、鶏肉を醤油味で煮込んだ中にわんさと豆腐、それにワカメをぶち込んだ。冬だったのがさいわい、大きな鍋に3〜4日分まとめて作っておいた。

「ナントカのひとつおぼえ」だが、これが意外にイケル味だった。作りもしないで味にはうるさい私も感心した。もっぱら「学食」ですませていた大学生だった私は、その味をしって以来、おやじに付き合って食事をともにしたものだ。

父親が料理するなど、想像もしなかった。入院中のおふくろに話すと、驚いていたくらいである。不器用なはずの人間が、左手に豆腐をのせ、苦もなく升目に包丁を入れていく手つきは初心者のそれではなかった。母がしらないというからには、独身時代ということになる。気の遠くなりそう昔だ。

包丁をにぎったのは、それっきりである。30年後、おふくろがまた転んだ。こんどは股関節を骨折した。2ヶ月の入院である。さすがにおやじは包丁はにぎれなかった。93歳になっていた。(4年後に他界)

私に兄姉が4人いる。誰ひとり、おやじが料理する姿をみていない。なかなか信じてくれなかった。唯一の目撃者であるおふくろは、いまは認知症で証言できない。

ふたりはダイヤモンド婚までいった。その75年のあいだのわずか1ヶ月、それも私にだけみせたとっておきのワザ、「おやじの味」であった。(お)


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