今 週 の レ シ ピ

専攻科のメニューより

●鶏肉の紅茶風味煮

鶏肉の紅茶風味煮 [材料]  - 7〜8人分 -

・鶏(とり)モモ肉2〜3枚(600g)
  塩小さじ2
◎A
  ネギ1本
  生姜(しょうが)1片
  ニンニク1片
◎煮汁
  醤油(しょうゆ)大さじ8
  砂糖大さじ1.5〜2
  塩小さじ1
  胡椒(こしょう)少々
  酒大さじ2
  中華出汁(ちゅうかだし)7カップ
  紅茶の葉大さじ1.5
  山椒(さんしょう)20粒
  八角(はっかく)2個
  桂皮(けいひ)1本
・胡麻油(ごまあぶら)大さじ1
・ガーゼ/タコ糸

[作り方]

  1. 鶏のモモ肉は観音開きにし、厚みを平均にし、塩を全体にすりこみ、しばらくおく。
  2. 鶏肉を1〜1.5枚で1本に巻き、ガーゼで包んでタコ糸でしばる。
  3. 鍋に軽くたたいてつぶしたAと調味料を入れ、沸騰後30分くらい中火で煮る。
  4. 3の中に鶏肉を入れ、20分くらい煮て、汁につけたまま30分くらいおく。
  5. 冷ましてからガーゼをとり、胡麻油を全体にぬり、端から5mmに切り、盛りつける。
ポイントはここ
  • 鶏のモモ肉は厚さが均等でなく、また巻くには少し厚いので観音開きにします。300gくらいありましたら、1枚でしっかり巻いてください。200〜250gでしたら、少し芯になるよう細く切った肉を入れて巻きます。
  • 巻いた肉をガーゼで包むのは、煮汁に紅茶の葉や香辛料の粒が入っていますので、肉にカスがつかないためです。ガーゼは薄くて目が粗いので、煮汁の味も色も肉にしっかりつきます。

    観音開き(右) しっかり巻く ガーゼで包む

  • 煮汁にたたいてつぶしたAを加えて、ふたをしないで30分くらい中火にかけます。いろいろな味と香りが混ざって、ひとつの味わいが生まれます。その中で肉を煮ます。

    材料Aと香辛料 煮汁を煮つめる 巻いた肉を煮込む

    ガーゼをはずす

  • 煮たあと煮汁につけておき、30分して味がおちついてから取り出し、ガーゼをはずして胡麻油をぬります。
  • 切っておくと切り口が乾きやすいので、食べる分だけを5〜6mmの厚さに切ってください。
ちょっと一言
  • 布巾に使うサラシは、ガーゼの代わりにはなりません。目がつんでいて厚いので、色も味も肉にしっかりつきません。
  • 薄切りにして、そのまま肉料理として食卓へ。また、中華そばの具として、焼き豚のように使ってみてください。
  • 煮汁は布巾で香辛料などをこし取り、煮つめて、中華そばや野菜炒めなどの味付けにいかがですか。

塩 ひ と つ ま み


■弁慶

「内弁慶」ということばがあります。俗に、家の中では元気がいいのに、外にでると意気地のない子どものことをいいます。もう少しワクをひろげると、知り合い同士や仲間内ではうるさいほど騒ぐのに、知らないところでは借りてきた猫のようにおとなしい。こんな子はまわりにたくさんいました。いえ、こんな子だらけで、それがフツーだったような気がします。

ですから、「内弁慶」ということばはあっても、これとは反対の「外弁慶」という語はありませんでした。辞書にも載っていません。内弁慶にたいして使うことはあっても、認知はされていないということでしょう。お稽古にきている幼稚園や小学校の先生によると、近頃この「外弁慶」が増えているといいます。

「うちではとてもおりこうさんです。学校(幼稚園)で、暴れるなんて信じられません」
と若いお母さんたちは言うそうです。
家ではおとなしいのに、外では活発な子。元気なのはいいですが、暴れたりわがままだったりして周囲に迷惑をかける行為はこまりものです。

この頃の親御さんは総じて子どもを叱りません。家の中でも外でも。このことが外弁慶の増加と関係ないでしょうか。自分が叱らないだけでなく、他人が叱るのも嫌います。乗り物やスーパーなど公共の場で騒いでも知らんふりです。目に余ってこれをたしなめようとする大人にたいしては、余計なことはするなとばかり逆に食って掛かる親もいるほどです。

親の目がとどいていてこうですから、とどかないところでは子どもが自制のきかない行動をとるとは思ってないし、たとえとったにしても責任は感じないでしょう。子どもは子どもで、親に逆らわないでさえいれば、なんでも思い通りのことを叶えてくれる、そうちゃんと計算済みです。

子どもを叱らなくなったのはどうしてでしょう。教育学や心理学などの専門家による意見はさまざまです。わたしなりに思うのは、「親のストレス」かもしれません。子育てはたいへんです。喜怒哀楽をそのまま子どもと共有できればいちばん楽ですが、そうはいきません。子どもは、ある意味、とても利己主義です。つねに自分の利益を優先し主張します。大人ほど大局的、重層的にものごとを判断することは不得手ですから、目前の目に見えるわかりやすいものに左右されがちです。そこに齟齬が生じて、親は教え諭し、ときに叱ります。

叱るのはとてもむずかしい。感情に任せてしまうと、最悪、虐待までエスカレートする危険性を孕(はら)んでいます。叱ったあと、親の方で落ち込むことがあります。子どもからも嫌われて、二重に気が滅入ります。できれば叱らないですませたい、子どもにも好かれたい。じつは親も“いい子”でいたいのです。自分がかわいいのです。子どもからの反発はできるだけ回避したいのです。叱らないでもわからせる方法は、いくらでもあるとわかってはいるのですが…。

「食育」についてもあてはまりそうです。好き嫌いなく、残さず食べてくれるのが理想です。でも、思うようにはいきません。ニンジン、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワーなどの野菜や、硬かったり食べるのが面倒なものは遠ざけて、ハンバーグとか焼きそばとか脂っこいもの・やわらかいものを好みます。いってみれば、「食弁慶(しょくべんけい)」です。

嫌がる子どもに無理強いして反発を買うより、ついつい好きなもの・口当たりのいいものを食卓にならべてしまいます。これでは親も子もストレスからは解放されるでしょうけど、偏食によって健康を損ないかねません。ことは命に関わります。

弁慶は弁慶でも、食弁慶なら対応策はあります。ひとつは、たとえば野菜嫌いなら、その野菜に愛着をもたせることです。テレビでもやっていましたが、子どもたちに野菜作りの現場に立ち合わせることによって身近かにさせる。こうすると、食べなかったのが食べるようになり、残すこともなくなるようです。

そしてもうひとつ、まいど我田引水で恐縮ですが、料理に創意工夫を凝らすこと。まずは「隗(かい)より始め」てください。

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【野口料理学園】

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