今週 の レ シ ピ

アドバンスクラスのメニューより

●ふきの葉の佃煮

ふきの葉の佃煮 [材料]
・フキの葉20枚(400g)
◎A
  醤油1/2カップ
  みりん大さじ2
  砂糖小さじ2
  うま味調味料少々

[作り方]

  1. 柔らかい葉を選び(1)、半分に切り(2)、しっかり丸めて(3)1cm幅くらいに切る(4)。

    (1) (2) (3) (4)

  2. 2〜3回水をかえてよく洗う(5)。
  3. 熱湯に入れてよく茹で(6)(7)、冷水に半日位さらす(8)。

    (5) (6) (7) (8)

  4. 充分水を切ってから鍋に入れ、Aを加えて煮汁がほとんどないくらいに煮る。

    調味料を入れて煮る 汁気がないように煮る

ポイントはここ

  • 葉を刻んで水につけますと、くすんだような茶色の水になります。もみ洗いを2〜3回して、水につけておきます。それから、湯を沸かしてください。湯が沸くまで、葉を水につけておきます。
  • 葉をざるにあげ、水気をきり、熱湯に入れて茹でます。茹で加減は葉の状態にもよりますが、葉を入れて沸騰したら、柔らかいもので2〜3分、こわい(かたい)もので5〜6分ゆでます。
  • 茹でたら、ざるにあげ、よく湯を切り、2〜3回水洗いしてから、冷水につけて半日くらい、涼しいところに置きます。
  • 鍋に葉を入れるときは、ざるにあげて水をきったあと、少しずつ、両手でしっかり水を切ります。
  • 茹でた葉がまだかたいようなら、柔らかくなるまで水で煮てから、調味料を加えます。
  • 佃煮としてとっておきたい場合、鰹節や昆布の出汁で煮ますと、あまり長持ちしません。私はうま味調味料「味の素」を使っています。
  • 塩分が気になる方は、出汁で煮て、薄味に仕上げて、煮物として召し上がってください。
ちょっと一言
  • まだ、家庭には冷凍庫どころか、冷蔵庫さえなかった頃(昭和二十年代から三十年代前半・・・)、「これはお父さんの薬!」といっては、母はふきの葉をたくさん煮ていました。戦後、南方での収容所生活で体力が弱っていた父は風邪を引きやすくなっていました。今のように、栄養補助食品などない時代、母は食に関する昔からの言い伝えを参考にして、父が一日も早く元気になるようにと工夫していました。そのひとつがこの「ふきの葉の佃煮」。もともと父はふきが大好物、ふきのとうが出るとあまから煮やてんぷら、茎は種類によって土佐煮、季節の野菜との炊き合わせ、きゃらぶきなどで味わっていました。ふきの葉は、あくが強いのですが、母は時間をかけて、色々な味に煮ていました。小さかったのであまり覚えていませんが、煮あがったらすぐ食べる薄味の煮物風から、長く持たせるために醤油だけで煮たものまで、父のために工夫していたことをかすかに覚えている気がします。父がなくなった後も、ふきの季節にはかかさずこの「ふきの葉の佃煮」をたくさん煮て、父の思い出話といっしょに学園の生徒に振舞っていました。
    平成6年5月9日月曜日、母はいつものように、大きな鍋でこの佃煮を煮て、「今年もおいしくできた」と満足げでした。10日火曜日の朝、甲府駅の東京行きのホームへ下りる階段で倒れ、意識不明のまま、15日になくなりました。あまりに突然のことでしたが、母の妹、弟、従弟がすぐにかけつけてきてくれました。「これ、ねえさんの最後の味か・・・」
    次の年から私はこの佃煮に挑戦しています。柔らかい葉が手に入るのは短い期間だけです。「そのとき」を大切にして、母の味が出せるように努力しています。冷凍庫や保存容器を利用することで、次の年に葉を手に入れるまで食べ続けることも可能です。
    季節を問わず手に入るものが増えていますが、やはり「旬」は大切にしたいものです。その季節に出会うことができ、いつもと同じようにおいしく味わうことができる食材から、心も体も元気だと思える幸せをわけてもらえることに感謝したいと思います。
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【野口料理学園】

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