塩 ひ と つ ま み

この2月まで毎週土曜日に発行されていたフリーペーパー「かわせみ」にJICAの日系シニアボランティアとしての活動を通して感じた様々のことを、月に一度、12回書かせていただきました。「かわせみ」を発行していた「タウン企画」のご好意で、HP「家庭料理が一番!」の「塩ひとつまみ」に載せるご許可をいただきました。つたない文章ですが、良かったら、私のモジ・ダス・クルーゼスでの「食」を中心にした活動と同時に、ブラジルでの生活、日系社会とのかかわりについてお読みいただけたら、幸いです。

モジから「ボンジーア」

●6 年中行事と食  2018年6月2日掲載

青空を泳ぐ「鯉のぼり」  青空の下、運動場の真ん中で気持ちよさそうに泳ぐこいのぼり、六十年以上前の小学校時代を思い出す運動会の光景ですが、ボランティア活動をしているモジ各地の日系社会では、5月から7月にかけて、盛大に行われます。地区の皆さんはもちろん友人知人、遠くの親戚もやって来たり、競技が始まる前から、大いに盛り上がっています。
 子供が好きな(こちらでは大人も大好きのようですが)アイスクリーム、綿菓子、袋菓子の屋台も出たり、地区の婦人部がお得意のお弁当を売ったり。昼食ともなると、テントの下で盛大に宴会です。私も三つの地区で、競技にも参加し、楽しく一日を過ごさせてもらいました。
 ちょっと気になったこと2つ。1つは「よーいドン」ではなくて、「よーいピー」とホイッスル。競技用のピストルがないからか、ピストルの音に敏感になっているからか。もう一つは音楽。三か所それぞれ、歌謡曲、童謡、日本のポップス、どこも、あの運動会独特の、気分が高揚し、走り出したくなるようではないのです。ある地区の音楽担当者に聞きました。「私が好きなの」。この運動会、この頃はブラジル社会でも興味をもたれているようで、非日系の方の参加も年々多くなっているようです。

「玉入れ」は日本といっしょ 「綱引き」は老若男女みないっしょ!!


 各地区ごとの日系社会の年間行事はバラエティーに富み、たくさん参加させてもらいました。1月1日拝賀式、1月新年会、3月ひな祭り、5月母の日、8月父の日、9月から10月に敬老の日、12月大掃除のあとの忘年会が主なもの。4月の1,2週目の土日はモジの日系社会で最大の「秋祭り」、5月から7月は各地区運動会の他に「すき焼き祭り」。他にも日本食でのお祭り、カレー、焼きそば(あんかけ)、うどん、牛丼など。ブラジル料理の代表「フェイジョアーダ祭り」もありますが。

モジの紅白カラオケ大会  もう一つ、盛んなのが「カラオケ」、皆さんそれは熱心に練習しています。ブラジル全土の大会もあり、さらに、世界大会もあるとのこと。モジの男性が世界チャンピオンになったこともあるんです。去年の11月、モジ中央日本人会のカラオケ大会「第29回紅白歌合戦」の審査員をしました。男女それぞれ25組、一組歌うごとに審査。皆さん、とてもお上手で、甲乙つけがたく、ちょっと悩みました。ちなみに1点差で白組の勝ち。
 ユニークなのは出演者も、観客も、もちろん審査員も「一品持ち寄り」、つまり、料理でもお菓子でもフルーツでも、無理しないで、自分でできる範囲で持って行きます。ちなみに私は「鶏もつのつや煮」。25組の熱戦ですから、前半終了後、一度休憩、コーヒーやジュースと、お菓子をいただきます。午後1時半に始まった大会は表彰式も終わると、もう夕食の時間。勝ち負けは関係なく、持ち寄りで、楽しいお食事です。

持ち寄りの料理 手作りのお菓子とフルーツ


他にも持ち寄りはよくあります。ある地区の忘年会は女性が料理とデザートを持ち寄り、男性は肉やソーセージを炭火で豪快に焼きます(シェラスコ)。長年のお付き合いで、お得意料理が分かっていて、ちゃんと同じものにならないように、暗黙の了解が成り立っているようです。その中に、講習会で実習した料理を見つけ、「やった」と叫びそうになりました。ある講習会で、「これ、今度の持ち寄りに作って行こう」「あら、私もそう思ったのに」皆さん、新しい料理への挑戦の気持ち、いっぱいお持ちのようで、「和食の普及」のボランティアとしては、やりがい、いっぱいです。

女性の持ち寄りの料理 男性は豪快にシェラスコ


 ☆ブラジルは12月は夏真っ盛り!!従って、忘年会は野外で行なわれることが多いです。写真の男性は半袖のシャツを着ています!!

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【野口料理学園】

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