| 塩 ひ と つ ま み |
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■ガム考グミが流行っているらしい。テレビのCMによく出るし、日本人の大リーガーが日本のお土産としてチームメートにふるまって喜ばれたとニュースにも出ました。さては、日本発祥かなと思いましたが、私の小さい頃の記憶にはありません。
それもそのはず、グミは19世紀のドイツで誕生、日本のメーカーが作って販売したのは1980年の明治製菓が初めてだとか。道理で、50代以降の人には無縁のものでした。おなじ嗜好品でも、ガムなら知っています。子供心に、鮮明に、強烈に。思い返しても不思議なお菓子です。食べ物なのに、途中で吐き出せ、なんて言われて訳が分かりませんでした。噛むだけで飲んではいけない、口から出しなさいというのです。でもそのタイミングが、どうしてもつかめません。
甘くて、スカッとして他のお菓子にはない味です。噛み心地も、グニャグニャ、ネチャネチャ、固いような柔らかいような、経験したことのない感覚。それがとても新鮮でした。
ところが、一体どの時点で噛むのを止めて吐き出せばいいのか。噛む回数、それとも時間?味がしなくなったら出せばいいのよ。そう教えられても、判断に迷います。噛み始めてまもなく味が薄れていくのは分かりますが、まだ早い、もう少し、もうちょっと頭で考えているうちに、誤って飲み込んでしまったことが何度かありました。
戦後間もない食料不足物資不足が尾を引いて、まだまだお腹をすかしていた時代でした(齢が分かってしまいますが)。食べるものを吐き出すなんて、「バチが当たる」は大げさですが、「もったいない気持ち」が先行してしまう。一旦口に入れたものを、味気ないからと取り出して捨てるという行為は、空腹な子供にとって驚天動地なことで、かなりの「勇気」と「決断」が要ったものです。
それでも回を重ねるうちに、いつの間にか捨てるタイミングが身に付きました。子供だけでなく、大人も愛好者が増えていきます。それに伴って、好き放題に捨てられたガムが、至る所で見受けられるようになります。靴で踏んだり、手足や服にくっ付いたりで、厄介者としてはタバコの吸い殻と双璧をなしていました。「タバコの吸い殻は灰皿に」「噛んだガムは紙に包んで捨てましょう」の注意書きはどこにでもありました。
今やガムの品質が上がって、バラエティーに富んだ食味や食感が加わり、長持ちして味を失っても不快にならないように工夫されています。嗜好品としてだけでなく、口臭を消したり、歯や顎を強くしたり、頭をすっきりさせるなどの健康や薬用の役目も担っています。
そのガムが、最近、グミに押されているようです。若者を中心に、グミのほうが売れている模様。ガムに比べて、より甘く柔らかく、味覚が豊富で、中身もパッケージも見た目がきれいで可愛らしい。噛んで食べられるのも好まれる理由かもしれません。長時間おなじ味にひたるより、短時間でいくつもの味を楽しめる。ガムのように味が先細りしないし、飲み込むからお腹の足しになるという人もいるでしょう。
また、ガムを長く噛んでいると唾液が溜まります。それを不潔と嫌がる人もいるでしょう。ガム王国アメリカでは、日本人から見たら、所かまわず唾を飛ばして不衛生丸出しの環境破壊と映るかもしれません。そのアメリカで、グミがどう受け入れられているか知りたいですね。
【野口料理学園】
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