塩 ひ と つ ま み

■安・短・簡

●近頃のCMソング、替え歌が多い気がしません?
コマーシャルですから、商品名や会社名をたくさんの人に覚えてもらうのが目的です。そこに流れる音楽に、替え歌がよく使われます。以前からある手法ですが、最近とみに増えた印象があるのは私だけでしょうか。
過去にヒットした曲をはじめとして、スタンダードソングだったり、イタリア民謡、ロシア民謡、日本の童謡/唱歌など誰しも知っている旋律とリズムに、宣伝したい文句とか商品名・会社名が歌詞として詰め込まれます。原曲が聞き覚えのある節回しなので、スンナリ耳に入ってきます。そこがミソ、制作者の狙いなのでしょう、抵抗感も違和感もなく視聴者の感覚に入り込んで、果てはつい一緒に口ずさみたくなるような心地にさえなります。

●でも、これって宣伝効果あるのかしら?
確かに耳に馴染みはあるけれど、ホントに宣伝用の歌詞の内容と結び付けて聞いているのでしょうか。多くの視聴者は、ただ知っている歌が流れている程度の感覚で聞き流しているだけではないか、宣伝の効果なんてないのでは⁈ 私のように、物足りなく感じたり、時として耳障りに聞こえる人もいるでしょうに、などと余計なシンパイをしてしまいます。

●テレビコマーシャルといっても、一方的に商品名や会社名を連呼するものから、短い時間の中にストーリー性を持たせたり、一見、広告とは直接結びつかない内容ながら、そのじつ印象を強くして逆効果を狙った巧妙なものまで多種多様です。そうした中から、一世を風靡した名台詞や名曲が数多くあります。また有名な監督、俳優、作曲家、コピーライターを起用し、時間とお金をかけて丁寧に作り込んだ作品が少なくなかった気がします。

●最近は、そんなググッとくるような見ごたえのあるCMになかなかお目にかからなくなりました。なかでも挿入歌は、替え歌が多すぎて、鮮度もアピール度もブッブー。あまりに安易、お手軽すぎませんか。
オリジナルのCMソングを作るとなると、時間もお金もかかります。既成の曲を借用すれば、歌詞だけで済み、経費を節約できます。とりわけ民謡や童謡が多用されるのは、著作権がないか格安なため、より経済的なのかなと想像したりもします。そのほうがスポンサーにも担当者にも歓迎されるのでしょう。安く、手早く(時短)、簡単に、というわけです。

●今のCM業界には、かつてのように個性的かつ刺激的でユニークな作品を作り出してきた創作者としての才能や情熱、プライドがなくなってしまったのでしょうか。おそらく、世知辛い今の世相と関連がありそうです。その辺の分析を、専門家にお聞きしたいところです。

●料理の世界なら、「替え歌手法」は大歓迎です。 それには原曲(定番食)をきっちりマスターしておくこと、これが大前提です。定番のレシピが頭の中、いえ体で覚えていれば、食材(歌詞)を変えようが、味付け(曲)をアレンジしようが一向にかまいません。アイデアが増え、レパートリーが拡がっていくのとおなじで、歓迎すべきことです。

●「安く、手早く(時短)、簡単に」(安・短・簡)という点ではどうでしょうか。
こちらも推奨します。が、加えてほしい要素があります。「栄養バランス」です。これを欠いては何にもなりません。むしろ最優先の条件です。
さらに付け加えてもらいたいのは「楽しみ」。たとえ安・短・簡が犠牲になっても、外してほしくないポイントです。教える側の私としたら、「料理する楽しみ」、これこそがもっとも皆さんにお伝えしたい肝心かなめの要素です。

<このページ最上段>
<これまでの塩ひとつまみ>
【野口料理学園】

§【ご意見、ご感想をお寄せください。ご質問もどうぞ。】  ichiban@kateiryouri.com


ホーム 月別 ジャンル別 これまでのお菓子 これまでのジュニア 学園案内 ケーキ屋さん