今 週 の レ シ ピ

・我が家の味より

●ナスの味噌炒め    155kcal. 塩分0.8g

ナスの味噌炒め [材料]  -4人分-

・ナス5個(450g〜500g)
  砂糖小さじ1
◎A
  味噌大さじ3
  日本酒大さじ1
  出し汁大さじ2
・炒め用油大さじ3〜4

[作り方]

  1. ナスはヘタをとって、7〜8mm厚さ、5〜6cm長さの斜めのうす切りにしてから、7〜8mm角の細切りにする。
  2. サッとナスを洗ってザルにとり、水気を切る。
  3. 中華鍋を強火にかけ、油を熱し、ナスを炒める。
  4. 少ししんなりしたら砂糖を加え、さらに炒める。
  5. 完全にナスに火が通ったらAを加え、手早くからめ、仕上げる。
ポイントはここ
  • ナスは切った後、手早く水の中を通してザルにあけ、水気を切っておきます。水につけておくと、細く切ってあるため、水っぽくなりがちです。

    斜めに薄切り 細く切る サッと洗って水切り

  • つやよく仕上げるために、鉄製の中華鍋やフライパンを使ってください。
  • ナスはよく油を吸います。炒め用の油を先ず、半分熱し、途中で残りを足します。
  • 強火でフライ返しをしっかり動かして、こげないように炒めます。
  • 充分火が通ったら、強火のまま、味付けをします。日本酒のアルコール分がとれて、味噌がちょっと香ばし風味になります。

    鉄製の鍋を使う しんなりしたら砂糖 手早く味付け

ちょっと一言
【野口料理学園】

塩 ひ と つ ま み

■変わるもの、変わらないもの

久しぶりに従姉(いとこ)に会った。久しぶりも久しぶり、40年を超えている。音信不通だったわけではない。情報は身近かにありながら、たまたますれ違ってばかりいたから疎遠な気がしない。今回会えると知って、無上のたのしみとしていた。

さいごに会ったのは彼女が二十歳少し。青春真っ只中だった。今は7人の孫がいる。いくらこちらが想像力ゆたかでも、昔の輪郭がチラついて現在が思い描けない。持てる感性をフル稼動させて対面にのぞんだ。自分の想像力がどこまで通用するか、それもたのしみだった。

果たして、現実は的外れもいいところ。まるで別人である。おなじ人間がこうまで変われるか(?)ショックでことばもでない。顔がこわばっていたかも知れない。娘盛りが一挙にしわくちゃ婆さんだ。映画を観ているようだった。会わなきゃよかった! 率直な感想である。

容貌だけをいっているのではない。全体のふんいきもだ。あのにぎやかな笑い声、よく動く腕とヒジ、きりりとしまった足首、黒々とした髪、取り巻く空気が波打ち、光を放ってすべてが眩しかった。それにひきかえ……

これはこっちの言い草。従姉の印象もおなじだろう。こちらは中学生だった。童顔が白髪頭に変貌した。孫こそまだないが、少し前なら定年過ぎのおじさんである。お互い、心の動揺を隠すのに懸命だったのだ。むろんだれのせいでもない。恨むは歳月である。否応なしに若さを奪い、輝きを失わせる。しかも、時は平坦には流れない。山あり谷あり、人生いろいろに推移する。そんな中、相手の想定内に“上手に老いる”のは至難の業である。

子供時分目にした風景も似たところがある。故郷の山河や町並みが、大人の目で見ると、同一の風景とは思われないことがあって戸惑う。対象が不変であってもだ。見る側のほうで変化を遂げているのである。人間の感覚というもの、子供と大人では、長年月空白が介在すれば、変形は避けられないのかもしれない。

ひとつ、変わらないものがある(条件がそろえばだが)。それは「料理」。子供のころ食べたとおなじものが、大人になっても味わえる。あいだにいくら空白が割り込んでも、変わらない料理をたのしめる。おなじ食材、おなじ料理法で作ってくれれば、子供時代の味に浸ることは可能である。よし、作る人がちがっても、おなじ味をだすことだってできるのだ。

「ナスの味噌炒め」と「ニラの卵とじ」。私にとって“おふくろの味”である。そのおふくろが作れなくなって何年にもなる。作り方は家内に伝授され、その味に違和感はない。またそれをそっくり娘が受け継いでいる。バトンタッチがうまくいけば、時間も空白も代替わりも超越できる。我が家の「食文化」のひとつ、といってよさそうである。(お)


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