今 週 の レ シ ピ

当学園は今週(4月29日〜5月6日)は「ゴールデンウイーク」 休みとなります。

 [特集] 眠っていませんか、有能な助手たち
張り切って買って、二、三回使って上手にできない⇒これってムズカシイ⇒わたしには向いてない⇒邪魔⇒眠らせてしまう。ナンテもったいない! もう一度、説明書を出し、よく読んで、立派な助手にしてください。(4回シリーズ)

1.圧力鍋…こわがらないで! (3月)
2.電子レンジ…温めるだけじゃない! (5月)
3.ミキサー…フル回転させて! (7月)
4.小物類…わたしたちも忘れないで! (10月)

2.電子レンジ
  温めるだけじゃない!

電子レンジの写真 【きっかけ】
第二次大戦末期に、連合軍の使ったレーダーの電波が、ポケットに入っていたチョコレートを軟らかくしたことから、調理器具への応用を考え出したのが始まりです。火を使わずに調理できる電子レンジの原理は、マグネトロン(電波発信管=真空管の一種)からマイクロ波(極超短波=1秒間に24億5千万回振動)が発信され、レンジ内の食品に当てられると、食品内部まで電波が届き、食品の分子の振動による摩擦熱を起こして、食品そのものが発熱し、スピーディーに食品全体が加熱されるのです。食品に水分のあるうちは、その沸騰点が100度以上にならないので、蒸し煮状態になり、電子レンジ料理の特徴となっています。

【現在】
アメリカから7年遅れて1961年、日本で国産第一号が発売、1966年に家庭用電子レンジが実用化されました。30数年たった今、アメリカより日本の方が普及しているといわれます。蒸し暑い日本の夏でも涼しく調理でき、窓の少ないマンションの台所を、煙などで汚すことが少ないのも理由のひとつでしょう。さらには核家族化や女性の社会進出、冷凍食品の普及なども、電子レンジ調理に期待するところが大きいと思います。
しかし、電子レンジが本来の機能をフルに生かして使用されていることは少なそうです。もう一度、使用書を取り出して正しく理解し、眠っている有能なあなたの台所の助手を大いに活用してください。

◎調理の特徴

  1. スピーディーな調理…電磁波の力で内と外から同時加熱されるので、効率がよく、調理時間が短くできます。
  2. 再加熱が可能…食品に水分があれば焦げつかないので、盛り付けた器のまま、形も崩れずに、冷めた料理を温め直せます。
  3. 冷凍食品の解凍が、急ぎの時にも間に合います。
  4. 食品、とくに野菜の下ごしらえに、水を使わず短時間で調理するので、色・風味・形が変わりません。
  5. レンジ本体が熱を持たないので、、煙も出ず、台所の空気も汚さずに調理できます。
  6. 温度の急激な上昇で、食品の殺菌効果があります。
  7. 短時間調理なので、栄養素の損失が少なく、栄養価のある料理が作れます。
  8. 食品のみを加熱しますので、器に盛り付けたまま調理ができます。

◎調理上の注意

  1. 食品の形・大きさ・とくに厚みをそろえて平均に電波がとどき、できあがりがムラにならないようにしましょう。
  2. 食品の性質により、加熱ムラができやすいので、調理中の容器の位置を変えたり、料理によっては、取り出して混ぜ合わせた方がよいでしょう。
  3. 使用する容器は、向き・不向きを確認してください。また特徴を生かすと、料理の内容が広がります。
  4. 加熱時間は、食品の形・大きさ・分量・温度・水分・脂肪分・糖分により異なります。目安として、「作り方」の時間を参考にしてください。
    (特別の場合=米、もち米の加熱=をのぞいて、電子レンジにかける1回の時間は、4〜5分を私は目安にしています。したがって、調理するのは4人分位までがよいでしょう。)

≪こんな料理に電子レンジが実力発揮≫

●落とし玉子の野菜あんかけ    200kcal. 塩分1.8g

落とし玉子の野菜あんかけの写真 [材料]  -4人分-

・卵4個
  お湯1.5カップ
  酢大さじ1
・塩/胡椒(こしょう)少々
・筍(たけのこ)小1/4本(70g)
・人参(にんじん)3a位(30g)
・日本葱(にほんねぎ)1本(50g)
・干し椎茸(しいたけ)2個
・油大さじ2
・冷凍グリンピース少々
◎A
  中華風出し汁1カップ
  醤油大さじ1.5
  砂糖大さじ1
  塩小さじ1/2
◎B
  酢大さじ2
  片栗粉大さじ1

[作り方]

  1. パイレックスの鍋にお湯を入れ、酢を加え、卵を割りいれ、ふたをして、4個で3分電子レンジにかける。
  2. お湯から引き上げ、卵の水気を充分切り、塩/胡椒をする。
  3. 筍、人参、日本葱はせん切り、干し椎茸は水でもどして、そぎ切りにする。
  4. パイレックスの皿に3と油を入れ、2分電子レンジにかける。
  5. 4にA・Bを加えて、3分電子レンジにかけ、よく混ぜる。
  6. 冷凍グリンピースを凍ったまま5にのせ、さらに1分電子レンジにかける。
  7. 大皿に落とし玉子を盛り、6を上からかけて仕上げる。

ポイントはここ

  • 落とし玉子を作る器は、ふたがある方がよいですが、ボールのようなものを使う場合は、ラップをきちっと張ってください。
  • お湯は80℃〜90℃位を用意し、酢を加え、手早く卵を落とします。酢を加えることで卵が広がらずに、1個ずつまとまります。
  • 卵は1個ずつ割って、状態(腐敗してないか、黄身をつぶさなかったか)を見てから、お湯の中へそっと入れます。割りながら落とすのは、止めましょう。
  • 卵4個では3分、3個では2分30秒、2個では2分位電子レンジにかけてください。材料が半分になったら時間も半分、とはいきません。それぞれの場合、レシピの時間を参考に何度か電子レンジにかけて、ちょうどよい時間を見つけてください。
  • 落とし玉子は、タオルの上などにのせ、充分水気をとり、塩/胡椒で下味をつけます。

    そっと入れる 4個で3分 水気を切る

  • 野菜に油をまぶし、2分電子レンジにかけて、温まったらすぐにAとBをかけます。野菜が冷めてしまいますと、つぎの3分ではタレにとろみがつくための時間が足りません。
  • 冷凍のグリンピース(またはインゲン)を、凍ったまま野菜あんにのせ、すぐあと1分電子レンジにかけます。
  • 充分水気の切れた落とし玉子に、熱々の野菜あんをかけてください。

    材料準備 A、Bを加える あんのできあがり


ちょっと一言


【野口料理学園】
塩 ひ と つ ま み

■スローフード (つづき)
  • 札幌オリンピックの前年、学生だった私は海外渡航を企て、その資金稼ぎに築地の魚河岸で働いた。もちろん(?)学業は一時中断、目的も「遊学」という名の「放浪」である。めざす先はイタリアと決めていた。本心は日本を脱出したかっただけで、行先はどこでもよかった。ただ、あそこは地球上もっとも陽気な国と教えてくれる人がいて、自分の性格と対極をなす人々が多く住む土地をこの目で確かめ、この足で踏んでみたいという、すこぶる単純かついい加減な理由から発心したものである(この点からいうと、私もかなりの楽天家なのだが…)。ローマ文明もルネッサンスも、ましてイタリアの食事情にも興味・関心があってのことではない。知的好奇心は、かけらもなかった。
  • 貧乏旅行は承知の上、しかも長期にわたるのを覚悟した。期間は未定。つまり、いつ帰るか(帰ってこられるか)はわからない。なにしろ片道切符なのだから。当座の生活費もわずか1ヶ月。野たれ死んでもおかしくない、まさに放浪以外の何物でもなかった。それを可能ならしめるものはわが身の健康体、イコール、食にあることだけは肝に銘じておいた。
  • イタリアには直行しなかった、できなかった。旅費がかさむからで、旧ソ連のシベリア経由でポーランド、チェコを通過、オーストリアに抜けるのが格安のコースだった。旧共産圏の食事は、ほとんど記憶に残っていない。随所にある検問の厳しさと初の外地による重苦しい緊張感で、食味するどころではなかった。ただ2点、モスクワのアイスクリームが嘘のようにうまかったのと、デザートのリンゴが貧弱すぎて、日本ならまず売り物にならないような代物がだされて呆れたのみである。
  • ウィーンまでは食費・滞在費もろとも全額旅費にくみこまれていた。そこから先はまったくのフリー。衣はさておき、食住のすべてに何の保証もない。行き当たりばったりの運任せ。リュック背中に移動もヒッチハイクと、究極の耐乏旅行となった。鉄則は、食事をおろそかにしないこと。まるまる三食は無理でも、空きっ腹は禁物だ。栄養面もそうだが、「空腹感」が恐ろしい。野宿はしても食事はぬかない。人間に恐怖心をもたらすのは、この「飢え」と「闇」と「寒さ」であると知る。二つは火でもって、あとはチョコレートかキャンディーの数粒もあれば解消できるのだ。
  • 実は、イタリアにアテはあった。ペンパルである。半年ほど前からはじめていた。まさにこのときのために。そちらに向けて出発すると書き送っておいたが、まさか1ヵ月後、当の本人が本当に目の前に姿をあらわすとは夢にも思わなかったろう。ペンパルとその家族の驚きは、たいへんなものだった。目を丸くするほどの「うろたえよう」は、気の毒なくらいだった。無理もない。イタリア中部、アドリア海に面した都市ペスカーラに近い内陸部に、テーラモという小さな町がある。そこからさらに丘をいくつか越えた先の、戸数数十が「コの字」型に長屋式にかたまったちっぽけな集落。公共施設といえば教会ぐらいで、ほかに個人診療所が1軒、バールが1軒、日本人を見るのも初めてという正真正銘、絵に描いたようなド田舎である。そのバールが文通の相手の家であった。
    突然の珍客にビックリ仰天した家族たちだが、心から歓待してくれた。それから1週間というもの、私は下痢が止まらないほど(?)のもてなしを受けることになった。(小笠原) (つづく)

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